いやあ、出だしの時代背景や主人公の職業から、てっきり吉田篤弘さん自身のことを綴っているエッセイかと思って読み進めていた。
ら、小説だったのね。
1986年当時にいたという女性2人のジャズバンド『ソラシド』を追う主人公の話。
主人公は若かりし頃、ダブル・ベース(コントラバス)を偶然ゴミ置き場で拾い、あまりの大きさに「エレファント」と名付け、一人練習していた。
『ソラシド』の薫もダブル・ベースの奏者ということで、興味が湧いたのだった。
しかし、レコードも出したことのないマイナーなバンドで、たま~に雑誌の隅に紹介が載るくらいなので、追跡は困難を極めるのだが。
あるとき、『ソラシド』が映画の音楽を担当したことがあると知り、そしてまた、その映画を保管している映画館を付き止め見に行くのだが、なんとそれはサイレント映画だった!
まあ、このくだりは、私の中でめっちゃ盛り上がって、そして、えええ~~~っ?!とジェットコースターのように急降下したよね。笑
だって、どんどん謎の『ソラシド』に興味が湧いてきて、それは、やっとの手がかりだったんだもの!
そんなこんなで、吉田作品にしては、一気にぐいぐい読める話だった。
いつもなら、文章を味わって読む感じなんだけどね。
これはちょっと、ミステリー小説っぽい感じだったから。
冒頭はちょっと退屈だったけど、どんどん面白くなってきて★5つ!