篠田節子
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2024/02/09

仮想儀礼(下)/篠田節子

 この本を読むきっかけとなったのは、NHKのドラマだった。

「金儲けのためにインチキ新興宗教を立ち上げた男二人の話」との番宣に、勝手にコメディドラマを想像していた。

初めの頃はその想像を裏切ることもなく、面白おかしく見ていて、原作を読んでみようと思い、図書館で借りたのだった。

ところが次第に深刻な話になって行く。

大物政治家、大手宗教団体の教祖、怪しい古美術商たちの悪事に巻き込まれ、聖泉真法会の大きなスポンサーだった森田社長が手を引いてから、大勢の信者が脱会し、結局、当初からの女性信者が残る。

彼女らはそれぞれの悩みを抱えてやって来ていたのだが、次第に彼女たちの信仰がエスカレートしてゆき、教祖・桐生慧海をも超えてしまう。

元々、似非教祖なので仕方ないが、桐生の作った偽宗教の核を彼女らが埋めてしまったのだ。

信仰は怖い。

自分の信じることが正義と思い込んでいるので、側から見ると、おかしいとか社会に反しているとか、そういう事に気づかない。

祈りながらトランス状態に入ってしまうと、自分たちや身近なひとを脅かす「悪」を排除する為に、暴力行為も犯してしまうのだ。

もちろんその行為も彼女らの中では正当化されていて、悪気は全くない。

桐生慧海自身も集団暴行を彼女たちから受け、拉致され、最初は逃げ出すことを考えていたけれど、そのうち、自分の起こしたインチキ宗教に彼女たちを巻き込んでしまったことを後悔し、彼女たちの業を引き受けることを決意する。

下巻はとにかく凄まじく、一気読みだった。

壮絶な物語だ。

信仰は怖い、のか?

人間の心の弱さが、怖いのかもしれない。

誰しも、そういう状態に陥らないとも限らないと考えると…。

2024/02/07

仮想儀礼(上)/篠田節子

 元都庁職員・鈴木正彦と元ゲーム会社の契約社員・矢口の二人が、金儲けのために新興宗教・聖泉真法会を立ち上げるところから話が始まる。 

御本尊は矢口が作ったワイングラスに粘土を貼り付けた張りぼてで、これにこっそり水を振りかけて仏の涙に見せかけたりのお粗末さで、いつ彼らの正体がバレるのかと思っていたが…。

教祖となった正彦(桐生慧海)が、教祖というより元行政担当の知識で人々の悩みごとにある意味真摯にアドバイスをしているうちに、たまたま悩み事が解決したという人々が信者になっていく。

そのうち、食品会社の社長が熱心な信者のひとりに加わったことで、その支援を受けて教団はあれよあれよという間に大きくなる。

似非教祖の正彦はインチキ宗教家なのに、お布施の強要はしないとか、心の中で信者の値踏みをしていても、困っているとわかると助けようと奔走するとか、根は真面目で良い人なんだろうなと、つい、好感をもってしまう。

しかし、教団が大きくなるにつれ、二人の力の及ばない大きな波にのみこまれ流されて行く。

次から次へといろいろ事件が起こって、聖泉真法会はどうなってしまうのか、とても分厚い本だけど、時間を忘れて読みふけってしまう!

寝不足になる…。



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Maira Gall