元都庁職員・鈴木正彦と元ゲーム会社の契約社員・矢口の二人が、金儲けのために新興宗教・聖泉真法会を立ち上げるところから話が始まる。
御本尊は矢口が作ったワイングラスに粘土を貼り付けた張りぼてで、これにこっそり水を振りかけて仏の涙に見せかけたりのお粗末さで、いつ彼らの正体がバレるのかと思っていたが…。
教祖となった正彦(桐生慧海)が、教祖というより元行政担当の知識で人々の悩みごとにある意味真摯にアドバイスをしているうちに、たまたま悩み事が解決したという人々が信者になっていく。
そのうち、食品会社の社長が熱心な信者のひとりに加わったことで、その支援を受けて教団はあれよあれよという間に大きくなる。
似非教祖の正彦はインチキ宗教家なのに、お布施の強要はしないとか、心の中で信者の値踏みをしていても、困っているとわかると助けようと奔走するとか、根は真面目で良い人なんだろうなと、つい、好感をもってしまう。
しかし、教団が大きくなるにつれ、二人の力の及ばない大きな波にのみこまれ流されて行く。
次から次へといろいろ事件が起こって、聖泉真法会はどうなってしまうのか、とても分厚い本だけど、時間を忘れて読みふけってしまう!
寝不足になる…。