同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬



主人公・セラフィマ(16歳)は母とともに猟をしてモスクワ近郊の小さな農村で暮らしていた。
1942年、ドイツ軍によって村を襲撃され、ただ一人生き残ったセラフィマは、続いてやってきた赤軍の女性兵士・イリーナに弟子として拾われる。
同じような境遇の女性たちの集まる訓練校で、イリーナに狙撃兵になるべく厳しい教育を受け、実戦に送られる。
死と隣り合わせの狙撃、初めは人に向けて銃を撃つことに抵抗を感じていたが、そのうち、狙った通りにフリッツ(敵のドイツ兵)を狙撃することに高揚感すら覚えるようになるセラフィマ。
村で母を狙撃したドイツ兵・イェーガーに復讐することを目標に突き進む。


戦争は悲惨だ。
いつも思うのは、「戦争しよう!」と決めた人が最前線で戦えばいいのにってこと。
安全な場所からあれこれ指揮しているのってずるい。
大抵、最前線で戦う人は、戦いたくて戦っている人じゃあないよね。
権力に支配されて、仕方なく戦っているもんだから、さらに弱い立場の敵国女性に対して戦利品のようにひどい仕打ちをするのだろう。
さらに、この小説で知ったのは、性欲よりも怖い気持ち。
集団心理に逆らえないということ。
一人なら倫理的に考えられることが、集団になることで逆らえないどころか、正当化されてしまう心理。
極限状態では、誰もがそうなってしまうのか。
あの優しかった幼馴染のミハイルまでもがそういう行動にでてしまったのを見かけたセラフィマは、どんな気持ちで彼を狙撃したのか、と思うとやりきれない。

戦争とはいえ、任務とはいえ、たくさんの人を殺してしまうことになる狙撃兵。
戦争が終わった後、どう生きればいいのか?
幸せになれるのか?
戦争で死んでしまった人もかわいそうだけれど、生き残った人もそれぞれに苦しみを抱えて生きてゆくのだものね。

2024年の今も、戦争をしている国がある。
早く安心安全な生活が取り戻せることを願うばかりである。




ブログランキング・にほんブログ村へ

sobakoへのご連絡はこちらへどうぞ

名前

メール *

メッセージ *