12編の短編集。
それぞれの物語の主人公が、リレーのようにつながっている。
ひとつひとつの物語は、とても優しく静かに進む。
小説を書く上での、作者・青山さんの決め事は、物語の中で人を死なせないことだそうだ。
だからなのか、この全体的なオブラートに包んだような雰囲気は。
かと言って、幻想的なのではなく、そうだなあ、眠っている時に見る「夢」のような、現実にありそうな出来事だけど現実ではない、みたいな。
なんだか上手く言えない。
青山さんの小説は、中学入試問題に使用されることが多いと聞いて、なんとなくわかる気がした。
平易な文章の中にいろいろ含まれているものが多くて、小学生に出題するのにピッタリだ。
でも、大人の私、いや、ひねくれた私が読むと、少々説教くさいというか、正論過ぎるというか…
本の構成も作り過ぎで、カッチリ型にハマった感じがする。
一つ一つ短いからテンポ良く読めるし、読後感も悪くはないけど、今一歩、私の心には響かなかった。
青山さんにとってはこの本がデビュー作なので、そのうち、もう少し最近の物語も読んでみようか。